こうした問題が生じた場合、日頃から「知的財産権」を管理しているかどうかで、できることが大きく変わってしまいます。
また、知的財産権の多くは登録を必要としておりますが、その効果は、原則として登録した国にしか及びません。すなわち、登録が必要な知的財産権については、日本で登録をしても、外国では当然には保護されないため、外国で保護されるためには、外国でも登録をする必要があるのが原則です。
知的財産権には、例えば、以下のようなものがあります。
(1) 商標権
ブランドのマーク、標識等を守るための権利です。
自社のマーク等を有効な商標権として登録することができれば、他人が無断でそのマーク等を使用することをやめさせたり、損害賠償金を求めることができるようになります。
なお、マーク等を商標権として登録をしていなかった場合でも、一定の場合には、商標法や不正競争防止法によって、他人がそのマークを使用することを防ぐことができます。
(2) 特許権
比較的高度な発明を守るための権利です。
発明をした場合、それを有効な特許権として登録することができれば、他人が無断でその発明を使うことをやめさせたり、損害賠償金を求めることができるようになります。
なお、特許権を得るためには、発明の内容が公開されますので、後述の営業秘密とは異なります。
(3) 実用新案権
特許権ほど高度ではありませんが、特許権と同様に、一定のアイディアを守るための権利です。
実用新案権を得るためには、発明の内容が公開されますので、後述の営業秘密とは異なります。
(4) 意匠権
デザインを守る権利です。
デザインを有効な意匠権として登録することができれば、他人が無断でそのデザインを使うことをやめさせたり、損害賠償金を求めることができるようになります。
(5) 著作権
小説や音楽など、創作された表現のうちの一定のものを守る権利です。
著作権は、上記の知的財産権と異なり、登録をしなくても、創作によって得ることができます。
また、著作権を持っている人は、他人が無断でその著作物をマネすることをやめさせたり、マネをした人に損害賠償金を求めることができるようになります。
(6) 営業秘密
例えば、公開されずに、社内で秘密にされている営業上の情報などがこれにあたります。
公開されていない以上、特許権や実用新案権で守ることはできませんが、例えば、自社の従業員が、自社の業務において知った秘密情報を不正な手段で他社に漏らした場合には、不正競争防止法によって、その他社が秘密情報を使用することをやめさせたり、損害賠償金を請求できる場合があります。
ただし、そのためには、日頃から、秘密情報を一定の条件に従って、しっかりと管理している必要があります。
最近は、外国で日本企業の製品が模倣されるケースが多くなっています。
こうした場合には、(1) 日本での模倣品対策と、(2)当該外国での模倣品対策を考えることが必要です。
(1) 日本での模倣品対策
① 税関での輸入差止め
日本の知的財産権を侵害する模倣品が日本に輸入されようとしている場合、そうした模倣品の日本への輸入をストップしてもらうよう日本の税関に申し立てることができます。
この手段は、一般的に、他の手段よりもスピードが速く、国内での流通を止めることができるため、非常に有力な手段といえます。
② 日本での民事裁判
日本の知的財産権を侵害する商品を日本で販売したり、日本に輸入している相手方に対しては、日本の裁判所に裁判を申し立てて、そうした行為をやめさせたり、損害賠償金を求めることができます。
③ 日本での刑事事件
例えば、日本の商標権や特許権等の知的財産権を故意に侵害している相手方に対しては、日本の警察に申告して、捜査、逮捕、刑事裁判等を行ってもらえる場合があります。
(2) 当該外国での模倣品対策
現在、いろいろな国でも、上記の日本と同じような対策をとることができるようになっております。
例えば、中国の税関(「海関」といいます。)にも、輸入差止め制度だけでなく、輸出差止めの制度があります。
そこで、中国で模倣品が見つかった場合には、中国からの輸出差止め(輸出のストップ)と、日本での輸入差止め(輸入のストップ)を組み合わせることで、二重のブロックを行うこともできるようになっております。